極子日子

つぶやくように書いて書けるようにするための雑記

アルバイト

今日は学生時代のアルバイトの思い出をひとつというお題。これはいくつかあるのだけれどひとつというなら印刷屋さんでのバイト話にしよう。というのも、そこで身につけた技術が今でもしょっちゅう役に立っているのだ。仕事内容は活字印刷された紙を機械操作で以て折り重ねて束ね、端を切り落として本に成形したり、建築図面の青図コピーをこれも機械で折りたたんでA4版で製本したり。それから手動で製本された本に表紙カバーや帯をかけたり。本の背に糊をつけて表紙をつけたり、製本テープで製本したり、何冊かをまとめてクラフト紙で包んだりもする。たとえばA4の紙束を揃えるには紙の端を両手で持って下側の断面を台に立てて紙と紙の間に空気を入れる。トランプのシャッフルのように紙を立てると同時に両手でたわませて紙と紙の間に空間を作ってそこに空気を誘い込むのだ。それから左右の手の平で紙束の両端を中へトントンと寄せて揃えつつ、台の上でトントンと紙束の下端をあてがって揃え、回転させてまたトントンする。空気を入れた結果、紙と紙の間の摩擦がなくなって、きっちり四方を整えられるのだ。そして最後に紙束を寝かせて置いて紙の端から端まで撫でて空気を追い出す。そうすると逆に摩擦はマックスとなり、もうきれいに整った紙束の断面が崩れることはなくなる。こうした紙を揃える技術は、製本や包装には欠かせないものだ。会社の書類をずれないようにホチキス留めするときなどに持ってこいの技でもある。ということで以上が印刷屋のアルバイトで身につけた技の一つだ。そしてもう一つ、印刷屋さんの仕事で知ったこと。いつも同じメンツで顔を合わせながら、いつも同じような三河万歳のような会話のやり取りをしながら仕事をするおじさんとおばさん達の仕事ぶり。仕事しながらラジオを聞くようなものだ。あるいはラジオを発信しながら仕事をしているようなもの。おじさんおばさんは50代くらいだっただろうか。夫婦ではない職場仲間を何年続けてきたのだろうか。謎な二人であった。